子どもの頃はよく熱を出した。熱も8度を越えると学校を休み,布団の中でぼーっとして一日を過ごした。退屈だったことだけを覚えている。
その音はだいたい午後3時頃に聞こえてくる。火照った額に水で絞ったタオルを乗せて天井の木目や節が造る絵模様を眺めていると,遠くから聞き覚えのあるエンジンの音が近づいてくる。次第に大きくなっていくその音は家の前で止まる。森岡医院の先生がやってきたのである。先生は私の脈を取り,体温計を確認し,黒い鞄から銀色に輝くケースをとり出す。その中にはあの注射器が入っていることを私は知っている。ガラスの注射器に針を付け,アンプルの先を折り,注射器の中に吸い込んだ透明の液体を針先からピュッと押し出す。
そういえば「三丁目の夕日」の宅間先生はラビットに乗っていました。昭和21年から43年まで富士重工業が生産したスクーターです。下のラビットは宅間先生のラビットではないですが,レトロで素晴らしいデザインです。






